最近報道された、ある看護師の「戒告処分」のニュース。
日々、綺麗事では済まない過酷な現場で戦っているあなたも、私と同じように複雑でやるせない気持ちを抱いたのではないでしょうか。
「ミトンが涎(よだれ)まみれの患者さんに『汚い』と言ったことが心理的虐待……?」
「現場のリアルを知らない人に、一方的に罪だと決めつけられたような気がする」
そんな風に胸が締め付けられ、「介助する側って、本当に損な仕事だな」と心が折れそうになりますよね。
実は、私も長年の看護師人生のなかで、言葉の暴力をぶつけられたり、認知症の患者さんから大きな椅子を投げつけられたりと、何度も理不尽な思いをしてきました。
この記事では、ニュースへのモヤモヤや現場の生々しいリアルに共感しつつ、以下の内容をお届けします。
- 「汚い」と言うのも罪?綺麗事では済まない看護現場の壮絶な現実
- 「誰のおかげで給料を…」理不尽な言葉や暴力に傷ついた私の体験談
- 50代の私が実践する、身と心をすり減らさないための「心の境界線」の引き方
どんなに傷ついても、現場に立つとプロとして最善を尽くしてしまう優しいあなたへ。
ほらね、やっぱり私たちは損な仕事をしています。だからこそ、自分を一番に大切にする生き方・働き方のヒントを、現役ナースの視点から本音でシェアします。
ニュースを見て感じた「看護師はそこまで言われなきゃいけないの?」という疑問
先日、ある看護師が「戒告処分」を受けたというニュースを目にしました。
患者さんのミトンが涎(よだれ)まみれになっており、それに対して「汚い」と言ったことが、患者への「心理的虐待」とみなされたそうです。
もちろん、具体的な前後の状況はこの一文だけでは分かりません。しかし、この情報だけを切り取られると、現場を知る人間としては「看護師は『汚い』と言うことすら罪になるのか……」と、やりきれない気持ちになります。
なぜなら、実際の看護現場は、綺麗事では済まない「汚いもの」の連続だからです。
- 涎(よだれ)でベタベタになるのは、まだ可愛いほう
- 排便を触り、こねて、壁になすりつけてしまう認知症の患者さん
- 介助者に唾(つば)を吐きかけ、手に吐き出したものを塗りつけようとする方
そんな過酷な環境のなかで、私たちは「汚いよ〜」と言いながらも、体を洗い、拭き、着替えをさせ、ベッドを綺麗に整えています。
「綺麗を保てるように」と必死に看護しているなかで、伝えるために「汚いよ」と言葉が出る瞬間だってあると思うのです。
こんなニュースを見るたびに、私は心の底から思ってしまいます。
「看護師って、本当に損な仕事だな」と。
「誰のおかげで給料を…」理不尽な言葉に傷ついた過去
私がこれまでの看護師人生で、「損な仕事だ」と感じた瞬間は、一度や二度ではありません。
現場に立つ看護師なら、一度はこんなセリフを言われたことがあるのではないでしょうか。
- 「何度も呼んでいるのに、なかなか来ない!」
- 「誰のおかげで給料を貰えていると思っているんだ」
- 「お世話をするのが、あなた達の仕事でしょ?」
正直に言わせてもらえるなら、「誰のおかげって……別に病人(あなた)のおかげで給料を貰っているわけじゃないですが?」と思ってしまいます。看護師の仕事は、単なる便利屋の「お世話係」ではありません。
すべての患者さんがそんな風に思っていないことは分かっています。でも、「こんな風に看護師を見下している人もいるのか……」と、胸が締め付けられるような悲しい気持ちで対応したことは、今でも忘れられません。
突然投げつけられた大きな椅子。やるせない感情の行き場
言葉の暴力だけではありません。
ある日、認知症の患者さんから、突然大きな椅子を投げつけられたことがありました。
当然、身体は痛い。心も痛い。
けれど、病気である相手を怒鳴りつけるわけにはいきません。必死に心を落ち着かせ、上手くなだめて、なんとかその場を収めました。
静かになったナースステーションで、押し寄せるのは激しい「やるせなさ」です。
思い通りにいかない自分の身体や、心のやり場がなくて、私に椅子を投げてしまったのかもしれません。
でもね、看護師だって一人の人間です。
ひどい言葉を言われたら傷つくし、暴力を振るわれたら涙が出ます。
そんな理不尽な思いを抱え込みながら、それでも頭をフル回転させて「今、この人に必要な看護は何だろう?」と考えて、また患者さんの病室に向かうのです。
50代の私が実践する、理不尽から自分を守る「心の境界線」
看護師は確かに損な仕事です。でも、だからといって、私たちは理不尽な環境にただボロボロにされ続けるわけにはいきません。50代を迎えた今、私は自分を守るための明確な「心の境界線」を持つようになりました。
まず大切なのは、嫌な仕事に向き合うときは「仕事と割り切る」という前提を持つことです。
そして、理不尽な言葉をぶつけられたり、理不尽なニュースを見てモヤモヤしたときは、絶対に一人で抱え込みません。ナースステーションに戻って、信頼できる仲間に「聞いてよ〜!」と患者さんの愚痴を思いきりぶちまけます。言葉にして吐き出すことで、その日のストレスはその日のうちに職場でリセットしてしまうのです。
だからこそ、一歩病院を出たら完全に看護師のスイッチはオフ。
家に帰ってまで仕事のことで頭を悩ませるなんて、時間がもったいないですよね。家では自分のやりたいことや、大好きな楽しみを最優先して、心をしっかりと満たしてあげます。
もう一つ、私たちが心に留めておくべき大切なことがあります。
それは、「自分(看護師)を大事にしてくれない場所で、身を削り、心を削ってまで働き続ける必要は一切ない」ということです。
過酷な現場で私たちを守ってくれない組織や、理不尽すぎる環境にしがみつく必要はありません。今は50代からでも新しい職場を選べる時代ですし、他にも自分らしく生きる選択肢(副業など)はいくらでもあります。まずは何よりも、自分自身を一番に大切にしてあげる働き方を選んでほしいなと思います。
【まとめ】ほら、やっぱり損な仕事。……それでも、私は。
本音を言えば、あんな理不尽なことを言う人たちに、自分の知識や技術を使って「最適な看護を提供してあげる気にはなれないね」と思ってしまう瞬間はあります。
そう思ってはいても、いざ現場に立つと身体が動いてしまう。やらなきゃいけないし、気づけばプロとして最善を尽くしちゃっている。
ほらね、やっぱり看護師って、どう考えても損な仕事です。
でも、同時に思うのです。
理不尽で、損で、ボロボロになるけれど、「それでも誰かにとって、絶対に世の中に必要な仕事なんだよね」と。
今日も自分の仕事に誇りを持ちながら、傷つきながらも現場を守っているすべての看護師さんへ。
あなたの頑張りは、決して無駄ではありません。たまには心の中で「損な仕事!」と毒を吐きながら、自分を一番に大切に労わってあげてくださいね。
もし、今あなたが働いている職場が、過酷な現場であなたを守ってくれない組織だったり、理不尽すぎて心も体もボロボロになりそうなら……。そこにしがみついて、大切な自分をすり減らす必要は一切ありません。50代からでも、自分を大切にしてくれる新しい環境を選ぶことは十分に可能です。とはいえ、「今のネットを使った転職活動ってなんだか怖そう」と不安になりますよね。
別の記事で、20数年ぶりに就職活動をした私が、ネットの転職サイトに怯えながらも登録し、自分に合う職場を見つけるまでの体験談を詳しくまとめています。一歩を踏み出す勇気がほしい方は、ぜひこちらも合わせて読んでみてくださいね。



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