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50代ナースの働き方・キャリア

難病患者さんとのコミュニケーション方法|脳神経内科看護師が20年で学んだ大切なこと

50代ナースの働き方・キャリア

脳神経内科・難病病棟での配属が決まり患者さんとのコミュニケーションに戸惑っている方も多いのではないでしょうか?

今回は、脳神経内科・難病病棟で20年勤務した看護師が、まばたきや文字盤を使ったコミュニケーション方法を解説します。声が出ない患者さんとの信頼関係の築き方や、現場で実践してきたリアルな工夫をお伝えします。

患者さんとの信頼関係を築くために、最も大切なコミュニケーションでつまづいてしまうと仕事へ向かう足が重くなってしまいますよね。その大切なコミュニケーションを取るためのヒントをお伝えします。ぜひ参考にしてみてください。

脳神経内科病棟で特に重要な課題

「患者さんの言葉が聞き取れない」

「まばたきで意思表示しているけれど、何を伝えたいのかわからない」

脳神経内科や神経難病病棟で働き始めた頃、多くのスタッフがここで悩みます。

私自身、脳神経内科・神経難病病棟で約20年間勤務してきましたが、患者さんとのコミュニケーションは看護の中でも特に重要な課題のひとつでした。

脳神経内科や神経難病病棟と聞いても、どんな患者さんがいるのかイメージしにくい方も多いかもしれません。

主な疾患としては、パーキンソン病・ALS(筋萎縮性側索硬化症)・多発性硬化症・重症筋無力症・ギラン・バレー症候群・筋ジストロフィー、そして脳梗塞や脳出血といった脳血管障害などが挙げられます。脳神経内科が専門の病棟だったこともあり、常に満床の状態が続いていました。

コミュニケーションの難しさ

これらの疾患の方の多くは重症度が高く、思うように言葉が出ない、声が出ないという状態にあります。これは、病棟に配属されたばかりのスタッフが最初につまずくポイントでもあります。

うまく意思疎通が図れないと、患者さんが何を訴えているのか、どんな気持ちでいるのかがわからない。それでは信頼関係を築くことも難しくなります。

また、神経難病の患者さんは治癒が難しく、長期にわたる療養・治療を余儀なくされている方がほとんどです。そのため入院生活へのこだわりや思い入れが強い方も多く、患者さんの要望をしっかり把握することが、円滑なケアの大前提になります。私も若い頃は、患者さんのまばたきのタイミングを何度も読み違えました。必死に確認しても伝わらず、患者さんを疲れさせて怒らせてしまったこともあります。

私が心がけていたこと① 事前の情報収集

まず行うのは、どの程度の意思疎通が可能か・どんなコミュニケーション手段を使っているかを事前に把握することです。

カルテや申し送りで情報を得たうえで、ご家族と面談し、実際のコミュニケーション場面を見せてもらいます。患者さんがどんな反応をされるか、「はい」と「いいえ」の反応の違いなどを確認します。

そのうえで、ご家族の同席のもとで私自身もコミュニケーションを試みます。「私の言葉が伝わるか」「患者さんの意思を私が受け取れるか」を確かめながら、一つずつ積み重ねていくイメージです。

初めて対面する患者さんは緊張されていることも多いので、少し冗談を交えながら、和やかな雰囲気で話しかけることも意識していました。

私が心がけていたこと② コミュニケーション方法を実際に体験する

次に大切にしていたのは、その方のコミュニケーション方法を自分でも実際に使ってみることです。

まばたきだけでしか反応できない方でも、わずかな表情の変化でYES/NOを表現されていることがあります。じっくり観察することで、その微妙な変化に気づけるようになります。

文字盤を使ったコミュニケーション

患者さんが必死に伝えようとしているのに、こちらが読み取れない。そんなもどかしさを感じる場面も少なくありません。

まばたきでコミュニケーションを取っている患者さんの多くは、**透明なプラスチック板に五十音を書いた「文字盤」**を使っている場合もあります。

使い方はこうです。

  1. 看護師が五十音を「あ行・か行・さ行…」と順番に指差しながら声に出す
  2. 患者さんは伝えたい文字が含まれる行でまばたきをする
  3. その行の文字を一つずつ読み上げ、伝えたい文字でまばたきをしてもらう
  4. これを繰り返して、一文字ずつ言葉を組み立てる

たとえば「く」という文字を伝えたい場合、「あ行・か行」と読み上げたところでまばたきがあり、次に「か・き・く」と読み上げたところでまばたきがあれば「く」と読み取れます。

慣れないうちは、指差しとまばたきの確認を同時に行うため、ある程度の練習が必要です。読み取りがうまくいかないと患者さんがイライラされてしまい、コミュニケーション自体が途切れてしまうこともあるため、習熟が重要です。


文字盤が使えない場合

文字盤が使えない状態の患者さんには、ご家族から「よく訴える内容」を事前にリストアップしてもらい、その候補を一つずつ提示しながら確認するという方法をとることもあります。

このように、コミュニケーション手段はまさに一人ひとり異なります。

最も大切なこと 最初のアセスメントに時間をかける

忙しい病棟では、つい「後で」となりがちです。しかし私は、初回の面談だけは他の業務を少し後回しにしてでも、コミュニケーションのアセスメントをしっかり行うことを徹底していました。

まばたき一つで伝えられた「ありがとう」。一文字ずつ時間をかけて受け取った言葉は、今でも忘れられません。

神経難病とともに生きる患者さんにとって、自分の思いが誰かに届くことは大きな意味があります。

だから私は、コミュニケーションの確立こそ看護の土台だと思っています。

今、コミュニケーションに戸惑い、患者さんとの信頼関係を築くために奮闘している方、最初につまづいてコミュニケーションに苦手意識を持っている方でも、患者さんとコミュニケーションを取ろう!理解しようという気持ちで向き合うことが大切です。参考にしてみてくださいね。


こちらは、長い看護師生活の中で気づいた私の好きな看護について綴っています。こちらもぜひご覧ください。

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