あるドラマを見ていて、登場人物の女性にすごく共感してしまった。
怒鳴られているわけじゃない。叩かれてもいない。でも夫の顔色をうかがって、空気を読んで、自分の行動をそっと制限している。
見ながら、「あ、これわたしもやってたな」とふと思った。
「モラハラ」という言葉は知っていた。でも当時は「殴られていないから違う」「怒鳴られるほどじゃないし大げさかも」と思っていて、自分の感じていたことにうまく名前がつけられなかった。
夫の機嫌が悪そうなら外出を取りやめる。話し合おうとすると、最終的になぜか自分が謝っている。外ではとても評判のいい人だから、誰かに相談しても「え、あの人が?」となる。
おかしいとは思っていた。でも、証拠がないような気がして、言葉にできなかった。
そこで、当時の「違和感」を整理するためにチャートを作ってみました。モラハラにはいくつかのタイプがある。項目を読んでいくうちに、当てはまるものがいくつも出てきました。
これがモラハラだったと断言したいわけじゃない。ただ、ずっとモヤモヤしていた苦しさに、輪郭ができた。それだけで、少し呼吸が楽になった気がしました。
このチェック表、もしかしたらあなたにも使えるかもしれません。「なんとなく苦しいけど、理由がわからない」という人に。あるいは、「自分も気づかないうちに、誰かをこんな気持ちにさせていないかな」と思う人にも。
「モラハラには9つのタイプがある」
■ モラハラの種類
モラハラというと、怒鳴る・物を投げる・無視する、といったわかりやすい行動をイメージしがちですが、実はもっとたくさんのパターンがあります。今回チェック表で整理したのは、9つのタイプです。
支配・管理タイプ 行動や交友関係を細かく監視・制限する。「心配だから」という形をとることも多い。
否定・人格攻撃型 言葉や態度でじわじわと自信を削ってくる。大げさな暴言じゃなくても、繰り返されるミスの指摘だけで十分傷つきます。
無視・冷却型 急に黙る、ため息、よそよそしい態度。言葉がなくても、空気で相手を不安にさせます。
被害者ポジション型 こちらが何か伝えると「僕が全部悪いんだよね」となり、最終的に慰め役が逆転する。話し合いのたびになぜか罪悪感が残ります。
ガスライティング型 「そんなこと言ってない」「考えすぎ」と、自分の記憶や感覚を否定してくる。気づきにくく、じわじわ自信を失います。
外面完璧型 外ではとても評判がよく、人当たりもいい。だから誰かに相談しても信じてもらいにくいです。
冗談擬態型 傷つくことを「冗談だよ」で包んでくる。指摘すると「ノリが悪い」とされます。
過保護・献身擬態型 「君のために」という形で、自由をじわじわ制限してくる。やさしさに見えるから気づきにくいです。
罪悪感注入型 「僕の気持ちは?」「普通家族なら」など、断ったり意見を言うたびに罪悪感を持たされます。
どれかひとつだけ当てはまる、というより、いくつかが重なって現れることが多いです。そしてどのタイプも、「殴られていないから大げさかも」と思わせるくらい、見えにくい。
「チェック表の使い方——される側も、する側も」
チェックする前に、少し読み方の説明をしておきます。
このチェック表には、2つの使い方があります。
「されている」と感じる人は、パートナーや家族など、気になる相手の行動を思い浮かべながら答えてみてください。「この人、これよくやるな」と思う項目に正直にチェックを入れていくだけでいいです。
「もしかして自分がやっているかも」と思う人は、自分自身の行動として読んでみてください。「私はこういう行動をとるか?」という視点で答えると、無意識の癖に気づくことがあります。
どちらの立場で読んでも、スコアの高さよりもどのタイプに集中しているかを見るのがポイントです。1つのタイプに項目が固まっているほど、そのパターンが関係の中で繰り返されているサインかもしれません。
スコアが高くても、それはあなたや相手を責めるためのものではありません。ただ、「なんとなく苦しい」「なんか噛み合わない」という感覚に、少し輪郭をつけるための道具として使ってもらえたらと思います。
「9タイプ自己チェックをやってみる」
これは診断ではありません。ただ、「なんとなく苦しい」という感覚に輪郭をつけるためのチェックです。
「自分でチェックしてみてわかったこと」
実際に自分でもチェックしてみました。
「話し合うたびに、なぜか自分が謝っていた」
結果を見て、まず目に入ったのは被害者ポジション型の高さでした。話し合おうとすると最終的に自分が謝っている、なぜか慰め役になっている、罪悪感だけが残る。振り返ると、そういうことが何度もありました。「私の伝え方が悪かったのかな」とずっと思っていたけれど、これはパターンだったんだと、数字を見て初めて腑に落ちた気がしました。
「制限されたのではなく、自分から収まっていた」
支配・管理タイプも気になりました。「外出を禁止された」とか「連絡を監視された」という感じではないんです。ただ、これをしたら不機嫌になるな、と空気でわかるようになっていて、気づいたら自分で選んで行動を狭めていました。制限されたのではなく、制限の中に自分から収まるようになっていた。そっちの方が、ずっと気づきにくかったと思います。
「相談できない孤独さ」
そして外面完璧型。外では評判がよくて、人当たりがいい。だから誰かに相談しても「え、あの人が?」となる。この孤独さは、経験した人にしかわからないと思います。
「苦しかった、頑張っていた」
スコアが高いからといって、相手が悪人だということでも、自分が被害者だということでもないと思っています。ただ、「苦しかった」「頑張っていた」という事実には、ちゃんと名前をつけていい。そう気づいただけで、少し呼吸が楽になりました。
このチェック表が、同じようにモヤモヤを抱えている誰かの、小さな気づきになればうれしいです。


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