求人票の給与欄、ちゃんと見ていますか。
合計額だけ見て、安心していませんか。
私は「のんびり働ける環境」を求めて転職した。だけど、その選び方には、当時気づいていなかった落とし穴があった。
オンコールの負担、給与明細の構造、ボーナスの「有」の意味。実際に働いてみて初めて分かったことを、これから就職活動をするあなたに伝えたい。
のんびり働くつもりだった
転職の軸は明確だった。お金より、環境。給料より、ペース。成果給やインセンティブより、じっくり覚えられる余白のある職場。
いくつも面接を受けたわけじゃない。2箇所受けて、採用された方を選んだ。それだけ。
最初はよかった。1日4件前後、新しい分野を少しずつ覚えながら、楽しいとさえ思えていた。
あ、ここで働けてよかったな、って。
じわじわと、変わっていった
でも、2人抜けた。そこから、じわじわと変わっていった。
気づけば毎日8件。オンコールは月15回。
オンコールというのは、電話が鳴れば即座に対応できるよう、常に待機している状態のことだ。お酒は飲めない。遠出もできない。夜中でも電話が鳴れば起きなければいけない。熟睡すら、少し後ろめたい。
その待機時間に対して支払われるのが、1回1,000円。電話が鳴って対応すれば残業代がつくけれど、基本給が低い分、そのベースも低い。
待機しても1,000円。対応しても、抑えられた残業代。そのオンコールを、月に15回。プライベートの時間が、じわじわと削られていく。
あれ。これ、私がしたかった働き方じゃない
疲労が取れないまま数ヶ月が過ぎた。身体は正直で、朝起きるたびに「また今日も」という感覚が積み重なっていった。
そしてある日、ふと思った。
あれ。これ、私がしたかった働き方じゃない。
給与明細を、初めてちゃんと見た
不満が出てきて、初めてちゃんと給与明細を見た。
基本給、職務手当、資格手当、調整手当……数字がたくさん並んでいる。合計額だけ見ていた頃は気づかなかったけど、この構造にはちゃんと意味がある。
基本給を低く抑えて、手当で数字を盛る。
ボーナスの欄には「有」とだけ書いてあった。基本給の何倍、という基準は存在しない。さらに小さく注釈がある。「業績により不支給の場合もあります」と。
金額の基準がないから、いくら出るかは会社次第。不支給の可能性も示されているから、少しでも出れば感謝するしかない。そういう設計になっているのだと、この時初めて理解した。
就職7ヶ月目のボーナスは5万円だった。「1年目でもらえたら多い方だよ」と言われて、そうかもと流した。でも今思えば、多いか少ないかを判断する材料すら、最初から持っていなかったんだと思う。
残業代はどうか。基本給に各種手当を加えた額をベースに計算されるから、明細を見るとそれなりの金額に見える。
見せたいところは大きく、抑えたいところは小さく
残業代が手当込みで計算されること自体は、法律上問題ない。でも、そもそも基本給を低くして手当に分散させた結果として残業代が「それなりに見える」なら、その設計に気づけるかどうかは、働く側の知識次第なんだと思う。
働いてる側からしたら、明細を見て「残業代ちゃんとついてるな」で終わりがち。私もそうだった。
求人票や給与明細って、実は読み解くための知識がいる書類なんだと、この時初めて気づいた。
さらに、最低賃金の計算に算入されない手当もある。だから「合計するとそれなりに見える」のに、最低賃金ベースで計算するとギリギリ、ということもある。私の場合がまさにそれで、訪問看護という現場で最低賃金+250円だった。
この職場、この給与設計だからこその話であって、訪問看護という働き方自体が悪いわけじゃない。今も訪問看護という仕事は好きだし、続けている。ただ、給与の仕組みを理解しないまま就職先を決めたのは、当時の自分の反省点だと思っている。
後悔は、していない
後悔は、していない。自分で選んだことだし、訪問看護の現場を知れたのは本物の経験値だ。給与のしくみも、オンコールの重さも、人が抜けた職場がどう変わるかも、全部体で覚えた。
ただ、選んだ時の条件と、今の条件は違う。のんびりだから安くていい、は、忙しくなった瞬間に成立しなくなる。それを知ったのも、ちゃんと学びだと思っている。
就職活動中のあなたへ
就職活動中の自分に言えるとしたら、これだけ。
求人票の給与欄、合計額だけ見ていませんか。基本給と手当が分かれている理由、ボーナスの表記が「有」だけになっている理由、そこまで確認してみてください。
次の「やりたい」が見え始めている。経験したかったから、した。だから次に進む。たった1〜2年の経験でと怒る人がいたとしても、私が決めることだから、それでいいと思っている。
就職活動に色々と見落としてしまった私の訪問看護へ転職活動時の体験談になります。こちらも一緒にどうぞ。



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