熱が出ないと休めない空気
体調不良で休みますと連絡すると、「どんな症状?」と聞かれることはわかっている。 だから最初から「熱があるので休みます」と伝える。
そんな経験、医療現場で働く人なら少なくないのではないだろうか。
福岡で広がる「謎の風邪」
最近、福岡で増加しているという風邪が話題になっている。その症状は、
- 熱が出ない、または微熱程度
- 喉の強い痛みや違和感
- 痰が絡むしつこい咳
- 長く続く鼻水
熱がないのに、症状だけがダラダラと続く。原因は特定されておらず、対症療法で軽快すれば良いのだが、そう簡単にはいかないことも多い。
人手不足の職場で生まれる「休みにくさ」
病院は慢性的な人手不足だ。 1人が休むと、その穴を埋めるヘルプが来るわけではなく、残ったスタッフで同じ業務をこなさなければならない。休んだ分だけ、誰かの負担が増える。
それをわかっているから、少々の体調不良では「突然休みます」と言い出しにくい。
師長が「どんな症状?」と聞くのも、症状の程度を確認して判断するためだとは理解している。ただ、体調不良にも様々な状況がある。
- 通常業務をこなせる気がしない
- 今休んでおかないとひどくなりそう
- 咳がひどくて患者さんの近くにいられない
「謎の風邪」のようにしつこい咳が続く状態は、体力を消耗するし、咳が出るたびに患者から離れる配慮も必要になる。熱はなくても、きつい。
それでも、「熱がないなら働けるよね?」という空気が透けて見えると、休むに休めなくなる。
コロナ禍で変わったこと、変わらなかったこと
コロナが猛威を振るっていた頃から、症状が出たらまず検査を受け、陰性の証明を持って働くという流れができた。受診が必須になり、手順は増えた。
でも、結局「陰性なら働ける」という構図は変わっていない。
体調は悪いんですよ。手段が変わっただけで、熱がなければ休みにくいことに変わりはない。
「えー、あの人休みなの」の積み重なり
「えー、今日あの人休みなの。忙しくなる」 そんな経験が一度でもあると、いざ自分が休みたいときに申し出にくくなる。
忙しい職場ほど、この悪循環が生まれやすい。休みにくいから無理をする、無理をするから体調が戻らない、体調が戻らないからまた無理をする。
体調不良で休みやすい環境が、結局は職場を守る
「謎の風邪」のように熱が出ないまま症状が長引く体調不良は、これから気温の変化が激しい時期とも重なり、さらに消耗しやすい状況になりうる。
しっかり休んで回復できる環境があってこそ、現場は長く機能し続けられる。 体調不良で休みやすい空気をつくることは、スタッフ個人を守るだけでなく、職場全体を守ることにつながるのだと思う。
重い体を引きずって、責任感だけで動くにも限界がある。「休みます」の一言が、説明なしに受け取ってもらえる日が来たらいい。そう思いながら、今日も熱を測る。


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